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団地ともお・小田扉/悲しみに触れて少年は大人になっていく

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団地ともお

小田扉の「団地ともお」という漫画にとてもハッとさせられました。

やっぱりこの世の中どうしようもならないことってあります。
そして、大人が思ってるより子供は勘がするどくて、大人の意図を理解しているんですよね。

そのことを、いざ自分が大人になるとそのことを忘れてたりします…。
今から紹介するシーンで改めてそのことを思い出しました。

子供を亡くした夫婦と過ごす、ともお

団地ともお01

正月のある日、ともおは同じ団地に住む上野夫婦に出会います。
とても親切な上野夫婦に若干の困惑を見せながらも、
ともおは子供らしく無邪気に過ごそうとします。

実はこの夫婦、子供を亡くしているんです。
「ハハハ…ともお君は面白くていい子だなぁ。…いっそのこと…」
そのことを思うとこの上野の旦那さんのセリフは切ないですよね。

そんな悲しみを抱えた夫婦の元で、ともおは一日を過ごします。

大人が思うほど、子供は鈍くない

団地ともお02

よろこんで上野さんのところでおいしいものを食べ遊ぶともおも、
上野夫婦のヒミツをなんとなく感じ取ります。

そして、この日は一泊することになり、
パジャマを届けに来てくれた母親に、ともおは言うのです。

「オレはその子の代わりって事で…今日一日だけの代わりで…
明日になったら夢を止めさせるわけで…要するに…
上野さんにとってとても残酷な事してるんじゃない?」

母親が困惑する程、ともおは状況を正しく把握していたのです。
子供はまだまだ知らないことが多く無知ではありますが、
子供は驚くほど大人の心や行動をしっかりと見抜いているからびっくりしますよね。

誰もが悪くなくて、みんな優しいからこそ悲しい。

団地ともお03

親が子供を亡くすことはこの世で一番悲しいことだと聞いたことがあります。
時間が立てば傷の痛みは少しずつ癒えてきますが、
大きな心の傷は治るということがありません。

成績が良くなくて、何も考えていないようなともおでも、
上野夫婦が抱えている深い悲しみはなんとなくわかります。

三人、川の字で寝ることになったともおは
一日楽しかったと言いながらも、つうと涙をこぼします。

「オレは、子供ってことを武器にして…
おじさんとおばさんの弱みに付け込んでよくしてもらった」

ともお大人な発言!いやわかってるんですよね子供はこういうとき。
でも、そうやって答えのない問題にぶつかっていくことで
子供は少しずつ成長していくんだろうなと思います。

亡くした子供の代わりを求めた上野夫婦、
残酷だと感じながらも一日二人の側にいたともお、
そしてともおを送り出したともおの母親。
誰もが悪くなくてみんな優しいからこそ悲しい。
読んでいて、ほんとに胸にじんわりと響いてきました。

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